不法就労とは?

不法就労と企業のリスク

企業が最も気を付けなければならないのは、「不法就労」です。

不法就労とは、
①そもそも在留資格がない状態で就労する場合と
②在留資格で認められている活動を超えて就労する場合
あります。

従業員がもし不法就労状態だったとしたら、経営者自身が不法就労助長罪にとわれます。
仮に経営者が不法就労だと知らなかったとしても、知らなかったことに過失がなかった場合を除いて、処罰を免れることはできません。
ただ、実際には経営者が「過失なく」不法就労だと知らない場合というのは、あまりありません。外国人を雇用した場合は、ハローワークに届出を出しますし、当然、担当する業務が可能な在留資格を取得または変更し、パスポートや在留カードも確認していなければなりません。そのような義務を果たしていなかった場合は、過失があると認定されてしまいます。
したがって、企業は、従業員が不法就労状態にないか、採用時だけでなく、定期的にチェックする必要があります。
雇用契約の期間を、在留期間を超えた時期にまで設定してしまうことで、いつの間にか不法就労状態になっているという例もあります。

また、外国人従業員の在留資格がカバーしている業務の範囲を正確に理解することも重要です。
たとえば、中華料理店の調理師として「技能」の在留資格で訪日している外国人が中華料理店でウェイトレスを行っているとしましょう。
一見、ウェイトレスより調理師の方が専門的な技能が必要に見え、技能の在留資格でウェイトレスとして給仕することも認められていそうな気がします。
しかし、これは不法就労です。
認められた在留資格以外の就労を行っていることになります。
また、よくあるのは、留学生が許可された時間を超えて働いている場合です。留学生は、一般的には週28時間以内という条件付きの就労許可を得ています。アルバイトで留学生を採用する場合は、労働時間の管理を怠らないようにしましょう。

在留カードをチェックしよう。

外国人従業員を雇用する際、保有している在留資格は、在留カードで確認することができます。

 

特に大事なチェックポイントは、在留カードの表面「在留資格」、「就労制限の有無」、「在留期間」、「番号」、「有効期間」、裏面「資格外活動許可欄」です。
①まず、有効な在留カードかどうかを確認してください。
「番号」と「有効期間」から、入国管理局ホームページ上で、在留カードが失効していないか確認することができます。
https://lapse-immi.moj.go.jp/
在留カードの番号と有効期間を入力すると、簡単に確認できます。
しかし、最近では実在する在留カードの番号を利用した偽造在留カードが出回っているため、完璧に偽造かどうかを見破ることはできません。そのため、不自然な点に気づいた場合は、最寄りの地方入国管理局にお問合せください。

②次に「在留資格」、「就労制限の有無」欄を確認してください。
ア 「就労不可」の記載がある場合は、原則雇用はできません。ただし、裏面の「資格外活動許可欄」に次のいずれかの記載がある方は,就労することができます。
A「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
B「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
(Bについてはその外国人が持っている資格外活動許可書を確認してください。)
イ 一部就労制限がある場合は、制限内容を確認してください。
次のいずれかの記載があります。
・「在留資格に基づく就労活動のみ可」
・「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」(在留資格「技能実習」)
・「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」)
※「指定書」とは、その外国人のパスポートに貼付されている書類です。パスポートを確認してください。
ウ 「就労制限なし」の記載がある場合は、就労内容に制限はありません。

※ 例外的に在留カードを所持していなくても就労できる場合がある場合があります。
● 旅券に後日在留カードを交付する旨の記載がある方
● 外国人登録証明書から在留カードへの切替えを済ませていない方
●「3月」以下の在留期間が付与された方
●「外交」「公用」等の在留資格が付与された方

在留カードの上記の点をチェックするのは企業の基本的な義務ですが、担当させる具体的業務が、当該在留カードに記載されている在留資格で認められているのかがわかりにくいかと思います。この場合、必ず専門家に確認するようにしてください。
また、改正入管法によって新たに創設された、「特定技能」の特定産業分野や業務区分を確認する場合はパスポートに貼付されている「指定書」を確認する必要があります。
弁護士にご依頼いただければ、不法就労に当たらないかチェックすることが可能ですので、ご相談ください。

就労資格証明書
もし、外国人に担当させる業務が、当該在留資格で認められているかどうかわからない場合は就労資格証明書の交付を受けるという方法もあります。
就労資格証明書とは、在留する外国人からの申請に基づき,その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書です。
雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には、出入国在留管理庁が、その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付してくれます。
この証明書の交付を受けると、雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか簡単に確認できます。
在留カード、パスポートに貼付(又は押印された)上陸許可証印、特別永住者の特別永住者証明書によって、就労の可否をおおむね判断することも可能ですが、具体的にどのような活動が認められているかの判断が難しい場合には、就労資格証明書の交付を受けるといいと思います。

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