せっかく作った就業規則や社内規則も従業員に浸透していないと宝の持ち腐れです。
経営者の方の考えを、従業員が理解し、理想的な行動をとってくれればいいのですが、なかなかうまくいかないことが多いと思います。
外国人従業員の場合、言葉の問題や仕事に対する価値観の違いから、ちょっとしたすれ違いが重なり、経営者の方の思ったようには動いてくれないこともあります。
「外国人従業員が会社のルールを守らない」理由は、いくつか考えられます。
①そもそも会社のルールを知らない。
②ルールの意味や価値がわからない。
③他の人もルールを守っていない。
④思想信条などに反するため守りたくない。
①そもそも会社のルールを知らない。
雇用契約時に、就業規則の母国語バージョンを交付し、説明しておきましょう。外国人従業員が理解しているかの確認が重要です。外国人従業員が複数名いる場合は、説明会を実施した方が効率的です。
大事な社内規則(ルール)については、OJTでその都度知らせたり、わかりやすいイラストや動画で示したりすることも効果的です。
外国人従業員の教育用に動画を作成してくれる会社もあります。
②ルールの意味や価値がわからない。
人によっては、価値観の違いから、ルールの意味や価値がわからず、結果的にルールに反してしまっていることがあります。この場合は、外国人従業員は、積極的にルールに違反しようとは思っていないことがほとんどです。
やはり、ルールを設けた理由を丁寧に説明することが重要になってきます。定期的な個人面談や外国人従業員向けの研修など継続的に周知の努力が必要になります。
外国人従業員は、日本の風習をある程度受け入れる覚悟で来日してきています。単なる説明不足、コミュニケーション不足でルールの価値がわからないまま就業を続けている場合は、会社側が積極的に細かい点まで教えていくことで外国人の理解が深まり、問題解決につながります。
③他の人もルールを守っていない。
日本人従業員もルールを守っていない場合には、外国人従業員もそれに流されてしまうことがあります。
この場合は、日本人、外国人問わず、従業員全体に周知させるために、面談や研修を実施していく必要があります。
④思想信条などに反するため守りたくない。
宗教によっては、勤務中であっても祈りを捧げなければいけない時間があったり、食べられないものがあったりします。また、服装に関する考え方が違う場合もあります。
そのような思想信条によって、社内のルールを守れない可能性があります。
雇用契約書や就業規則の説明時、できれば面接段階から、チェックリストのようなものを準備し、経営者の方が想定している働き方ができるのか、確認しておくことが重要です。
また、他の従業員にも説明して理解を仰いでおかないと、周囲の不満が募る原因にもなりかねません。
外国人従業員に就業規則、社内規則を教え、実行してもらうには、雇用時の十分な説明や、雇用後の継続的な説明、面談、研修などの努力が必要になります。
しかし、そのような努力の結果、外国人従業員とのトラブルが防止できたり、コミュニケーションが活発になり社内の雰囲気がよくなったり、日本人従業員にも就業規則や社内規則の理解が深まるといったプラスの効果が期待できます。
外国人従業員の教育に関してお悩みの方は、外国人雇用に精通した弁護士にご相談ください。
日本人従業員に対する外国人従業員との関わり方を説明する研修や、外国人に対する就業規則の説明や基礎研修、外国人に伝えるための業務フローの整理などについて、サポートさせていただきます。