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なぜ外国人を雇うのか

 外国人をこれから雇おうと考えている方は、まず、外国人を雇う理由を考えてみてください。
 人件費を抑えたいという理由であれば、雇うのはやめた方がいいかもしれません。正直なところ、外国人を雇うのは、日本人を雇うより面倒かつお金がかかる場合が多いです。
入管関係の手続き、雇用した後の届出など、日本人従業員であればやる必要のない事務手続が多数あります。労働法令、社会保険法令など各種法令の適用もあり、決して、安い賃金で長時間働かせられるわけではありません。
さらに、技能実習生の場合は、監理団体への入会金、年会費の支払い、特定技能の場合は、登録支援機関への費用など、日本人従業員であれば必要のないコストがかかります。
また、何より、言葉の問題、日本の気候や風土、文化に馴染ませる努力が必要という問題もあります。
外国人労務顧問を謳いながら、このようなことを言うのはおかしいかもしれませんが、それなりのコストと時間をかけてでも外国人を雇用したいという理由がないと、外国人の雇用や定着に失敗してしまう可能性が高くなります。

積極的な理由で外国人を雇う

外国人雇用の大きな利点は、相対的に若くて優秀な人を採用できるという点です。
日本の若年人口は減る一方です。他方、特に東南アジアでは、若年層の人口が多く、いまはまだ経済格差があるため、日本で働きたいと考える優秀な若者がいます。
優秀な人財は何にも代えがたい会社の財産です。すぐ辞めてしまう、やる気がない日本人従業員を雇うくらいなら、コストと手間をかけてでも、優秀な外国人を雇う方が中長期的に会社の利益になります。
たとえば、1人のベトナム人を雇ったとしましょう。最初の採用コストが50万円、月額のコストが27万円(給料20万円、社会保険5万円、登録支援機関2万円)、賞与年50万円とし、その方が5年間働いてくれた場合、5年のトータルコストは1920万円です。5年働いていれば、業務内容を把握し、技能も向上し、他の従業員との関係も築き、別の人財を教育指導してくれるような会社で有能な戦力となってくれているはずです。 
一方、同じ待遇で日本人を雇ったが、すぐ辞めるため5年間で5人雇用した場合を考えます。採用コストは10万円だったとします。採用コスト10万円×5人分=50万円、月額25万円(給料20万円、社会保険5万円)、賞与年50万円で、5年のトータルコストは1800万円です。5年で120万円、1年で24万円安いですが、1年しか業務経験がないので、常に新人で、有能な戦力とは言い難く、誰かがサポートしなければならない状況です。
どちらが会社の成長に貢献してくれるかは明らかだと思います。
また、外国人雇用のもう1つの利点は、新規市場参入の可能性が広がるという点です。さきほどのベトナム人の例でいくと、日本国内に中長期滞在で在留するベトナム人は約29万人います(平成30年6月末 法務省調べ)。これから在留外国人の数はさらに増えることが見込まれています。ベトナム人を雇用することで、ベトナム人向けの商品やサービスを提供できる可能性が出てきます。当然、日本だけでなく、ベトナムとの取引や進出も視野に入れることができます。

日本人と比べて若くて優秀な人財が雇用できる、新しいマーケットの可能性、これらはビジネスを行う上で、非常に魅力的な要素だと思います。
 このような積極的な理由で外国人を雇用する場合、外国人採用がうまくいき、人財も定着してくれます。

外国人を雇用するには

外国人を雇用するには、①国内にいる外国人を雇用する、②海外にいる外国人を日本に呼び寄せて雇用する、の2パターンがあります。
日本語能力や日本文化への適応を考えると、①国内にいる外国人を雇用する方が圧倒的に効率的です。

① 国内にいる外国人を雇用する。

国内にいる外国人の採用方法は、以下のものが考えられます。

A 外国人雇用サービスセンターに求人情報を出す。
  ハローワークの外国人向けのサービスです。
  関東では、東京外国人雇用サービスセンター(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-foreigner/home.html)と新宿外国人雇用支援・指導センターがあります。
  
  東京外国人雇用サービスセンターは、留学生や専門的・技術的分野の在留資格を所持して仕事を探している外国人に対する求人を対象としています。求人情報を出すだけでなく、外国人留学生向けの就職面接会に出展したり、インターンシップ企業に応募したりすることができます。
  新宿外国人雇用支援・指導センターは、日本人の配偶者等、定住者、永住者などの就労に特段の制限のない在留資格を持っている外国人の方、またはアルバイトを希望する外国人留学生に対する求人を対象としています。
  このサービスは非常に有用なのでぜひ活用してほしいと思います。

B SNS(Facebook、LinkedIN、WE CHAT)での求人広告
  若年層であれば、SNSの活用も有効です。
  Facebookに企業のページを作り、求人情報を投稿したり、求人広告を出したりすることができます。広告費も安い上に、紙媒体のものより若い人には見られやすいので効果があります。特に、東南アジア系の方は多く利用されています。
  Linkedin(リンクトイン)はビジネス特化型のSNSツールです。日本での知名度はFacebookほどではありませんが、アメリカ、中国、インドなどでは非常に有名です。Facebookとの一番の違いはビジネス専用というところで、プロフィールもビジネスに関する内容に特化されています。主に中途採用で利用されることが多いです。プロフィール自体がレジュメのようになっています。
  WE CHATは、中国バージョンのFacebookのようなものです。中国ではFacebookの利用ができないため、中国人はWE CHATを利用しています。

C 大学や専門学校に求人を出す。
  概ねどこの学校にも就職担当課があるため、直接求人情報を提供することもできます。大学のウェブサイトなどで所属留学生の数を確認し、就職担当課に書式などを確認して求人を出しましょう。留学生は、一定以上の日本語能力を持っていますし、無料で簡単にできるのでおススメの方法です。

D 外国人向けの新聞、フリーペーパーに広告を出す。
  中国や韓国の方向けの新聞やフリーペーパーに広告を出すという方法もあります。ただ、若い人はあまり見ないので、比較的中高年を雇用したい場合に活用するのがいいかもしれません。

E 人材紹介会社を利用する。
  外国人を紹介してくれる会社が多数あります。非常に優秀な人財に出会える可能性もありますが、非常に費用が高額なので注意が必要です。

F 自社で採用サイトを作る。
  A~Dのような求人を出した際、さらに自社の採用サイトにリンクで飛べると非常に採用活動がスムーズになります。採用サイトは、外国人だけでなく、日本人の採用においても重要です。自社の理念や業務内容、経営者や働いている人の様子がわかるような採用サイトを作成し、魅力を伝えるとともに、ミスマッチを防ぐ効果もあります。近年採用サイトの有無により、求人に対する応募者の数、質共に大きな違いが表れるようになっています。費用はかかりますが、一度作成すれば、何年も利用できますので、採用に難しさを感じられている場合は検討されてはいかがでしょうか。

② 海外にいる外国人を日本に呼び寄せて採用する。

海外に支店や現地法人がある、海外の企業と取引のある国際的な企業であれば、既にターゲットとなる外国人人財をもっているため、企業内転勤や技術・人文知識・国際業務、技能といった在留資格を取得することを前提に、採用していくことは可能です。
ただ、そういった海外とコネクションのない企業の場合、現在までで海外にいる外国人を呼び寄せる方法としてよく行われているのは、国内の監理団体を通じて、技能実習生として外国人を受け入れる方法です。
技能実習生は、あくまで技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としているため、普通の雇用とは異なります。実習の期間制限もありますし、監理団体による監理、指導、監査などもあります。
しかし、2019年に新たに特定技能という在留資格が施行され、技能実習生から特定技能ビザへ切り替えることが可能になり、最長で10年間外国人を雇用することができるようになりました。
したがって、今後は、まずは技能実習生として外国人を受け入れ、技能を習得してもらいながら、日本語や日本文化を覚え、優秀な人財にはさらに日本にとどまってもらうことが期待できます。
技能実習生を受け入れたい場合は、まず監理団体に連絡をしましょう。千葉県の監理団体(一般監理事業)は以下のとおりです(2019年3月29日現在)。
業種や受け入れられる国に違いがあるので、自社に適した監理団体を選ぶようにしましょう。
1
関東ビジネス・ネットワーク協同組合
千葉県松戸市小金清志町3-59
2

京葉技術情報交流協同組合
千葉県船橋市湊町3-6-23小柳ビル201

ケーヨービジネス交流協同組合
千葉県成田市花崎町758-41

国際能力開発協同組合
千葉県市川市相之川4-15-6 M・M SPIRITS6階

CINグリーンパートナーズ協同組合
千葉県印西市竹袋470-4

首都圏中小企業ネットワーク協同組合
千葉県船橋市夏見2-14-1

外房物産協同組合
千葉県いすみ市大原1413

千倉水産加工開発協同組合
千葉県南房総市千倉町大川1114-1

千葉アグリグローバルネット協同組合
千葉県成田市並木町221-184 岩澤コーポ1階B
10
千葉建設企業協同組合
千葉県千葉市中央区都町1285-2
11
千葉中部流通協同組合
千葉県八街市滝台1385-2
12
千葉農産振興協同組合
千葉県印西市牧の原5-1-15
13
中央環境事業協同組合
千葉県市原市五所502-7
14
中央産業振興協同組合
千葉県市川市香取1-8-7
15
中小企業絆交流協同組合
千葉県千葉市若葉区太田町72-1
16
銚子水産加工連協同組合
千葉県銚子市前宿町852
17
東部中小企業協同組合
千葉県銚子市西小川町2844-1 根本興産ビル3階301号室
18
東葉ワークス事業協同組合
千葉県柏市東上町3-15
19
流山工業団地協同組合
千葉県流山市西深井字大堺1028-46
20
BSF支援協同組合
千葉県八街市八街い77-129-2
21
ヒューマンブリッジ協同組合
千葉県野田市岩名1-76-35
22
ブライト協同組合
千葉県市川市富浜2-10-18 グリーンパレス101
22
房総振興協同組合
千葉県鴨川市横渚1170-2 旭ビル2D
23
未来ネットワーク協同組合
千葉県鎌ケ谷市東道野辺7-21-12

 

外国人を雇用するときのチェックポイント

 外国人を雇用するときには、気を付けるべきポイントが多数あります。
 以下、主な点を表にしてみましたので是非ご参照ください。
 技能実習生と技能実習生以外とで違いがありますが、一般的によく問題となる点について列挙しています。

採用段階

在留外国人の場合は現在の在留資格と在留期限。
入社後の業務が適法にできる在留資格の取得、変更が可能か。
留学生の場合は資格外活動許可があるか。
上陸許可基準を満たしているか。
日本で生活できる日本語能力はあるか。
日本のビジネス上のルールについてどの程度知っているか。
日本で働きたい目的は何か。

入社段階

労働条件が書面やメール等で提示されているか。
最低賃金を下回っていないか。
外国人雇用状況届を提出しているか。
社会保険に加入しているか。
入社前に健康診断を受けているか。

入社後

在留資格に対応した業務を担当しているか。
在留期限を過ぎていないか。
安全衛生研修を実施しているか。
福利厚生制度を外国人にも利用させているか。
労働時間を守っているか。
時間外割増賃金を支払っているか。
セクハラ、パワハラ、人種差別、宗教差別などを行っていないか。
日本語や日本文化についての研修環境があるか。
各種届出を定期的にしているか。
外国人従業員が10名以上の場合、外国人労働者の雇用労務に関する責任者を決めているか。

外国人従業員にも、各種労働法令、社会保険法令、租税法令などは同じように適用されます。また、外国人従業員に対する法令違反だけでなく、日本人従業員に対する労働法令違反が見つかった場合に、外国人従業員の受け入れもできなくなる場合もあります。
結局のところ、コンプライアンスを重視した企業活動を実施していくことが、人を採用定
着させる上で一番重要になってきます。
以上のとおり、外国人を雇用するにはいくつもハードルがあり、コストもかかります。一方、比較的若くて優秀な人財を雇用でき、新しいマーケットが広がる可能性があるというメリットもあります。
実際に外国人を採用するかはさておき、採用しようと思えば、外国人も採用できる、外国人を活躍させることができる環境が整備されている企業は、今後の伸びしろが違ってきます。
また、外国人が活躍できる環境は、外国人にとってだけでなく日本人にとっても魅力的な環境です。
外国人労務に詳しい専門家に相談しながら、人事労務環境を整え、中長期的に発展できる組織を作っていきましょう。

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